【デレマス】速水奏「今年のチョコが、渡せない」

ゴールデンタイムズ


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1 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 21:56:52.07 ID:CtU3Od4o0


――事務所

「それでね…… ……たんだけど、プロデューサーさんが……ってくれて……はいっ、がんばりました!」

「ふーん……いや、私は……渡せたけど……そ、そんなんじゃないってば。 ……は、どうだった?」

「もちろん私も……けどさ、こっちからの……よねぇ。だから、いつもの調子で抱きついて……」



速水奏「……」

奏(事務所の空気が甘い……)

奏(そうよね、バレンタインだもの)

奏(もちろん、気持ちは分からなくないのだけど)

奏「ふぅ。……どうしようかな」

コンコンコン

奏「……」

奏(反応なし。まだ外回りね)

ガチャ パタン

奏(少し待たせてもらいましょう)

奏(待つといっても、その間に決めなくちゃいけないんだけども……)

奏「……あら」

奏(机の上、何個か可愛い包みがある。担当の子たちね)

奏(さて……)

奏(……私は、どうすればいいのかな)






2 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 21:58:06.04 ID:CtU3Od4o0

奏(Pさん、まだ帰ってこなそうだし、ちょっとコーヒーでも買ってこようかしら)

――休憩所

奏(誰か知った顔でもいるといいのだけど)

城ヶ崎美嘉「……ね……ちょっと」

美嘉P「お、おい……」

奏(? あれは……)

美嘉「……誰もいない、よね」キョロキョロ

美嘉「プ、プロデューサー」

美嘉P「うん」

美嘉「その、ほら……アタシから」ガサ

美嘉P「ああ、くれるのか? ありがとう」

美嘉「ご、ご期待通りにナンバーワンのチョコレート」

美嘉「っとストップ! ま、まま、まだ焦らない♪」

美嘉P「え、お、おう」

美嘉「…………む……」プルプル

奏(……チョコにキスしようとして震えてる……)

美嘉「んっ」

奏(あっ、やった)

美嘉「はいっ、これでナンバーワンかつオンリーワンっ、ま、まるごと……」

美嘉「ぜんぶ……受けとっ……」プシュゥ

奏(後半ほとんど聞こえなかったわ。……でも)

美嘉P「あ、ありがとうな。嬉しいよ」

奏(……ふぅん)






3 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 21:59:26.68 ID:CtU3Od4o0

奏(なかなかいいもの見せてもらったけど、コーヒー買いそびれちゃった)

奏(仕方ない。下の喫茶店でテイクアウトにしましょう)

――事務室

奏(さて、と。Pさんが帰るまでに、考えておかないとね……)

ガチャ

モバP(以下P)「お。お疲れ」

奏「……お疲れさま」

奏(不意打ち……)

奏「えっと、レッスン前に、ちょっと寄っただけなんだけど」

P「そうか……ん、コーヒーか?」

奏「えっ。ええ、下の喫茶店で」

P「なんだ、いま淹れようと思っていたところだ。タイミング悪かったな」

奏「そう?」

P「多めに淹れれば、奏も飲めたし」

奏「そうね。ええ、本当に。タイミング悪いったら」

パタン







4 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:00:01.02 ID:CtU3Od4o0

奏「戻ってきてすぐコーヒー飲みたくなったの?」

P「暖冬とはいえまだ冷えてなぁ」

奏「まぁ、そうね」

P「奏も同じ理由じゃないのか」

奏「私は……手持無沙汰だっただけ。紅茶でも緑茶でも良かったのだけど」

P「じゃあ、下まで行かずに休憩所の自販機で良かったんじゃ」

奏「それがね……」

P「……ん?」

奏「いえ、あそこに顔を出すには、ちょっと野暮すぎて」

P「なんのことだ」

奏「気にしないで。ああ、でもコーヒーなのはちょうどいいんじゃない」

P「ちょうど?」

奏「今日がそういう日だから。机の上のものと、相性いいでしょう」

P「ん、ああ。担当の子たちからだな」

奏「貰ったのを置いておいたんじゃないの?」

P「朝は無かったから、外出中に置いておいてくれたんだな」

奏「そう。……結構数あるんじゃない?」

P「結構ってわけじゃ……まぁ、ありがたいけど」






5 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:01:19.66 ID:CtU3Od4o0

ガサ ガサ

P「えーと、これがあの子で……」

P「なんだこれ、生八ツ橋? ……周子のか」

奏「チョコ味でもなく、普通の?」

P「普通の」

奏「彼女なりの配慮かもね。チョコばっかりで飽きるでしょって」

P「そうかぁ? 実家から持ち出してきただけじゃないかな」

奏「ふふっ、ありえるわ」

P「はは。しかし、わざわざ事務所寄ってくれたんだな」

奏「わざわざ?」

P「周子、今日現地入りだろ。そのままゲネだし」

奏「ああ。ライブだったわね」

P「そのまま実家にも少し帰省するって」

奏「へぇ……」

ピィー

P「お、お湯沸いたな。ちょっと淹れてくる」

奏「ええ」






6 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:01:52.04 ID:CtU3Od4o0

カチャ

P「ふぅ。インスタントは楽でいい」

奏「ねぇ」

P「んー?」

奏「やっぱり、貰えると嬉しいもの?」

P「チョコレート?」

奏「うん」

P「そりゃあね」

奏「そうよね。……海外では、チョコレートは贈らないそうね」

P「日本のお菓子企業の宣伝だからなぁ。とはいえ、こっちもそれに乗っているところもあるし」

奏「こっちも?」

P「去年、奏にも仕事させただろ」

奏「ああ……あれね。可愛い衣装着られて楽しかったわ」

P「形はどうあれ、義理なり感謝なり、こうやって形にして贈りやすい日っていうなら、悪いことでもないんじゃないかと思うよ」

奏「……そうね」

P「まぁ……」

P「……いや、なんでもない」

奏「……そう」






7 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:02:19.29 ID:CtU3Od4o0

奏「そろそろレッスンね。それじゃあ、失礼するわ」

P「ああ」

P「……なんか用があったわけじゃないんだな」

奏「言ったでしょう。ちょっと寄っただけ」

P「そうだったな」

奏「あら……」

P「……なんだ?」

奏「意外と、がっかりしているのかしら」

P「うん?」

奏「そんな表情に見えたから。私からは貰えるだろう、なんて思っていた?」

P「あー…… ……どうかな」

奏「期待に沿えなくてごめんなさいね。ちょっと……うっかりしていただけなの」

P「なに、忘れていたとか?」

奏「そうね」

奏「そんなとこ」

パタン

P「……」






8 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:03:23.90 ID:CtU3Od4o0

――レッスン場

ベテトレ「今日は以上」

奏志希フレ美嘉「「「「お疲れさまでしたー」」」」

一ノ瀬志希「うにゃぁ〜。そんじゃ、さっさと帰ろか〜」ノビー

宮本フレデリカ「どっかでおゆはんたべてこー」

美嘉「いいね。アタシも行こ★」

フレ「奏ちゃんは?」

奏「そうね、行くわ」

美嘉「よーし、それじゃあ荷物取ってこよ」

奏「あ……」

フレ「ん?」

奏「荷物、うちのプロデューサーさんの部屋だったなって」

美嘉「別に待つけど?」

奏「……ええ、ありがたいけど……」

美嘉「うん?」






9 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:04:01.18 ID:CtU3Od4o0

奏「……ちょっと、顔を合わせづらくて」

フレ「どしたの? まさか、チワワゲンカ!?」

美嘉「なにその可愛いの」

奏「さすがにそんなんじゃないけど、ちょっとね。大丈夫、さっととってくるから」

志希「顔合わせづらいって、珍しいね〜」

奏「……」

美嘉「あー、ほら、奏のとこ仲いいじゃん。言いたくないならいいケド」

奏「別に……ちょっと、チョコを渡していないってだけ」

美嘉「えっ。えーっ、マジで?」

志希「んー? 用意し忘れちゃったとか?」

フレ「わかった、食べちゃった!」

美嘉「そんな人……いや、いるかもしれないけど」

奏「……まぁ、まず着替えましょう」






10 ◆WO7BVrJPw2 :2020/02/13(木) 22:04:29.05 ID:CtU3Od4o0

――更衣室

奏「情けない話なんだけど、忘れていたのよ」

フレ「えっ、バレンタインを?」

美嘉「まさか、チョコ買ってきてないの?」

奏「ううん。チョコはバッグの中」

志希「じゃあ、なにを忘れたって?」

奏「……去年とは違うってこと」

美嘉「去年?」

奏「一度として同じ夜明けなんかない。単純なことなのにね」

美嘉「はぁ」

志希「奏ちゃんの話って、あたしでも時々よくわかんないときあるよね〜」

フレ「去年は渡していたの?」

奏「ええ」

フレ「じゃあ違ったのは、奏ちゃんの方なんだね」

美嘉「わかるんだ……」




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